「主が教えてくださる祈り(マタイ⑲)」
更新日:2024.6.17
マタイによる福音書 第6章9-15節
小林克哉牧師
聖主イエス・キリストは〝祈り〟を教えてくださいます。古今東西、〝祈り〟と呼ばれるものがありますが、神の御子イエスさまだけが祈ることができる〝祈り〟をです。その祈りの世界へとイエスさまは弟子たちを招き入れられました。そして今日、十字架で死なれご復活し今も生きておられる主イエス・キリストが、そのご臨在をもってわたしたちを祈りの世界へと招き入れられてくださるのです。「だから、こう祈りなさい。『天におられるわたしたちの父よ、』」(9節)
イエスさまはこの世のどんなに仲睦まじい親子も比べものにならない、この上ない親しさをもって神に呼びかけられました。「アッバ、父よ」と小さな子どもが父親を呼ぶのに日常的に使う素朴な言葉で呼ばれたのです。イエスさまの祈りの独一性は、この神とのこの上ない親しさにあるのです。それは神の御子であられるイエス・キリストだけがなすことができる祈りです。ところが、イエスさまはなんと、御子であられる御自分だけでなく、イエスさまを信じ従う者にも神にこの上ない親しさをもって神に呼びかけなさいと言われるのです。
神は人間の父ではありません。独り子である神イエス・キリストは真の人となってくださり、人間の罪と死を背負い贖いの死を遂げてくださいました。イエスさまは真の人となられ、わたしたちの兄弟となってくださったのです。このイエスさまと結ばれ、イエスさまと共に「わたしたちの父よ」と呼ぶことができるのです。
「天におられる」とあります。地上の父とは全く別ということです。父親についてよい思いを抱けない人もあるでしょう。わたしは3才で父を亡くしました。「お父さん」と誰かを呼んだ経験がありませんでした。信仰を与えられ、わたしは初めて心から「天のお父さま」と呼んだのです。イエスさまがこの上ない親しさをもって「アッバ、父よ」と呼ぶお方が、わたしたちの父となってくださるのです。
イエスさまは「父よ」とこの上ない親しさをもって信頼の内に呼びかけ、御名の栄光を求めて祈る祈りの世界へとわたしたちを招き入れてくださるのです。
(2024年6月9日礼拝説教より)