「人を見ず、ただ主を見る(ヨハネ62)」
更新日:2023.5.29
ヨハネによる福音書第21章20-25節
小林克哉 牧師
愛弟子の姿が目に入った途端、ペトロの心は揺れ動いたのです。「ペトロが振り向くと、イエスの愛しておられた弟子がついて来るのが見えた。」(20節)ペトロは愛弟子と自分を比べたのです。愛弟子から自分がどう見られているか気になったのです。「ペトロは彼を見て、『主よ、この人はどうなるのでしょうか』と言った。」(21節)愛弟子がこれからどうなるのか気になったのです。それは重要なことでしょうか?
人は人のまなざしの中で育ちます。まずは親のまなざしです。あなたは大切な子というまなざしの中で育つから、自分を大切な存在だと感じることができるようになるのです。逆も然りです。次第に家族、先生、友達などのまなざしの中で自分を形成していきます。一種、他人は鏡です。他者の目に映る自分が本当の自分だと思うようになるのです。そのように思っている者たちに向かい、イエスさまは言われます。「あなたに何の関係があるのか」。愛弟子が殉教するのか、再臨まで死なないのか、それはあなたにとって重要なことなのか? 本当に大切なのはイエスさまの眼差しです。イエスさまの目に映るあなたが、本当のあなたなのです。
「あなたは、わたしに従いなさい。」他の人がどうであれです。イエスさまとの関係、神さまとの関係がまずあるのです。神関係が軸となるのです。それこそが重要なのです。洗礼の準備会で繰り返し確認しているのもこのことです。神関係が一番であり、それが人生の軸になるという話をよくするのです。人を見てすぐに揺れるペトロ。しかしイエスさまは揺らぐことがありません。ペトロがどうなろうともイエスさまは変わらない。ペトロが、わたしたちが、何度揺らいでも、その度に揺らぐことのないイエスさまが「あなたは、わたしに従いなさい」と言ってくださるのです。
わたしたちのために十字架で死に、ご復活し、今も生きておられるお方がこの礼拝のただなかにご臨在くださっているのです。そして今朝、わたしたちはこのお方と改めてお会い、信じ、愛し、従っていくのです。「あなたは、わたしに従いなさい」。アーメン
(2023年5月21日礼拝説教より)