「兄弟をつまずかせないために」
更新日:2020.10.23
コリントの信徒への手紙 一8章7―13節(新約309頁)
米倉 美佐男 牧師
「その兄弟のためにもキリストが死んでくださったのです。」(11節)
コリント教会からの質問に対し、パウロは噛んで含めるように丁寧に答えます。偶像に供えた肉を食していいのか悪いのかということを問題にしてのパウロの答えが記されます。この箇所の最初には「この知識が誰にでもあるわけではありません」と記します。先週は「我々はみな知識を持っている」と語っています。正反対のようにも思いますがそうではなく、確かに我々には知識があるがみんながみんなそうではないのだと言っているのです。
そのことを知って、事に当たりなさい。先に論じたようにあなたがたは思い上がることなく、知識があると自負するなら、キリストの十字架の贖いを受けたのだから謙虚にまだそこに到達していない人もいるということを踏まえた上で接しなさいと言っているのです。食べ物飲み物で信仰が左右される必要はないのです。
言えるのはやたらに禁止して本来のものを見失わないこと、食べ物で躓く人たちもいるのだから、知識があると自負する者たちは知識を誇るのでなく、弱い人たち、躓く人たちを軽蔑したり、無視するのではなく、思いやりをもって接すべきだと言うのです。知識のある者がない者に知識を押し付けるのではないのです。よりそって歩むのです。私たちと同じく弱い人たちのためにもキリストは十字架にお架かりになり死んでくださったのだから。「イエスは、わたしたちのために命を捨ててくださいました。そのことによって、わたしたちは愛を知りました。だから、わたしたちも兄弟のために命を捨てるべきです.」(ヨハネの手紙一3章16節)
パウロは人に強制するのでなく自らの生き方として兄弟をつまずかせないために、今後肉を口にしないとさえ言います。 パウロは「弱い人々を罪に誘うことにならないように」(9節)そのためにそうすると言うのです。
(2020年10月18日説教より)