「すべての民は主を賛美せよ」
更新日:2020.5.18
ローマの信徒への手紙15章1-13節 (新約295頁)
米倉 美佐男牧師
「わたしたち強い者は、強くない者の弱さを担うべきであり、自分の満足を求めるべきではありません。」(1節)
今の状況はある意味非常時です。新型コロナウィルスの脅威が多くの人々に不安を与えています。今から50年ほど前、神学生の時に尊敬する旧約の教授が旧約聖書は崩壊期の思想の書だと教えてくれました。みな、時代の危機的状況の中で書かれたと言うのです。信仰者たちが時代の危機の中で精神的、政治的、あらゆる混乱、苦難の中で神との関係において自分たちのあるべき姿を見たのだと、預言者たちもその中で神のみ言葉を聞き伝えたのです。
今、私たちも非常時の中で神のみ言葉を聞いています。
今朝の個所でパウロは強い者、弱い者という考え方で話を進めています。強い(力がある)、弱い(力がない)、何をもって強いか弱いかを決めるのでしょうか。パウロはここで「私たち強い者」と言っています。彼の言う意味は力や権力が強いということではなく、信仰の強さ、弱さを念頭に置きながら語っているのです。
信仰の強い者とは何でしょうか。それは己の弱さを知り、自分の罪を知り、悔い改め、キリストに立ち返ることができる者のことです。そこにしか己の生きる術のないことを知った者を彼はあえて強い者と言っているのです。弱い者とは真の悔い改めに至らず、キリストに立ち返ることを良しとしない不信仰のことです。心すべきは信仰の強い者は自分の満足を求めるべきでないという勧めです。善を行い隣人を喜ばせ、互いに向上しなさいと言って励まします。そのキーワードは5節の「キリスト・イエスにならって」です。キリストのみ旨に従って歩むのです。そして神の栄光のため、すべての民が主を賛美し、聖霊の力で希望に満ちあふれるために。主の民に喜びと平和があるように。
(2020年5月10日礼拝説教より)