「二人の婦人」
更新日:2019.3.25
フィリピの信徒への手紙4章1-3節 (新約365頁)
米倉 美佐男牧師
「このように主によってしっかりと立ちなさい。」(1節)
二人の婦人が登場します。エポディア(芳香)とシンティケ(幸運な)と呼ばれています。パウロは彼女たちに「主において同じ思いを抱きなさい。」(2節)と言うのです。おそらく彼女たちが同じ思いでない現実が獄中のパウロの耳に聞こえてきたのでしょう。パウロは噂だけで軽々に注意したのではありません。
このように言うからにはそれなりな確かな事実があったからパウロは二人に勧告をしたのです。名前が記されるくらいですから彼女たちは教会の中では有力なメンバーであったのでしょう。具体的には何も記されていません。しかし、この二人の間に何か確執があり、それが教会内の問題をさらに深刻化させていたのです。パウロは指導者として上から目線で説教しているのではありません。ただ神の慰めによって、互いに悔い改めて歩めと勧めるのです。
もう一人「真実の協力者よ」と呼ばれる人もいました。この人も正体不明です。あえて名前は記さなかったのです。男性か女性かも分かりません。要は問題の解決には協力者が必要ということです。パウロは今獄中でフィリピには行けません。だからあなたのような協力がいると要請したのです。彼がここまで言うのには理由があります。今は問題を起こしている二人ですが、教会の創設当初には共に主イエスを信じ、伝道するために教会を立ち上げ、担ってきた信仰の戦いの戦友であったからだと言うのです。最後に「わたしが愛し、慕っている兄弟たち、・・・このように主によってしっかりと立ちなさい。」(1節)。しっかりと立つとは自分の力で立つのではなく、主によってキリストの導きによって歩むことです。必要なことは必ず主が備えてくださいます。信仰の戦いは苦しくても耐える力を主が与えて下さいます。ただ主にのみ依り頼みましょう。
(2019年3月17日礼拝説教より)