「わたしはエリート」
更新日:2019.2.25
フィリピの信徒への手紙3章1-6節(新約364頁)
米倉 美佐男牧師
「わたしの兄弟たち、主において喜びなさい。」(1節)
パウロはフィリピ教会で起こっている内部問題を心配して愛弟子テモテとフィリピ教会が自分のために派遣してくれたエパフロディトをそちらに送り返すと言います。その時「あの犬どもに注意しなさい」(2節)とフィリピ教会を混乱させた敵対者たちを警戒せよとの助言をしたのです。割礼について語っていますから敵対者がユダヤ人であることは間違いないでしょう。
割礼問題を前面に出すのは神の民としての選びを問題にしているからです。神の民として表面的なことに固執せず、ただ神を礼拝し、主イエス・キリストだけを正しく誇れと勧めます。誇るのは主のみなのだと。肉に頼るな。2節の中に注意せよ、気を付けよ、警戒せよと3度も注意喚起の言葉が語られます。信仰の喜びを持ち続けるためには敵対者に惑わされず、正しい信仰に固く立つことが大事だと。
4節以下に記されているのはパウロの履歴です。彼は自分はエリートだと言っています。確かに彼はユダヤ教の指導者として超一流の人物でした。学識においても地位、名誉、財産すべてにおいてです。ところがこの後それらは一切無意味でそこには救いは無かったと断言しています。彼の語るエリート論こそ、まさに神の選びの正しい理解です。パウロは決して自分の履歴を誇っているのではありません。彼が言いたかったのは何によって本当の救いが得られるのかということでした。それはキリストの出会いであってそれ以外のものはすべて虚しいということでした。パウロにとって今一番の憂慮はフィリピの教会の人たちが自分と一緒に教会を立ち上げた時の当初の信仰が失われていた事でした。それを憂えて彼らが元の正しい信仰を取り戻すことが切なる祈りであったのです。
(2019年2月17日礼拝説教より)