「あなたの罪は赦される」
更新日:2016.11.14
マタイによる福音書9章1‐8節(新P15)
牧師 米倉 美佐男
マタイは8章の1節から17節までに三つの病の癒し、ハンセン氏病、中風、熱病の病、それに続いて8章の17節から9章の8節で三つの権威、風や海の自然を従わせ、悪霊の追い出し、罪の赦しを記します。病の癒しと神の権威がここではイエスの存在そのものとして大きく取り上げています。イエスは中風の人を見てではなく、病人を連れて来た彼らの信仰を見て、中風の人に、「子よ、元気を出しなさい。あなたの罪は赦される」と言われたのです。
この様子を見ていた律法学者の中にイエスを敵視し、悪意を持ってイエスが中風の者にむかって励まされた言葉を捕え、イエスは神を冒瀆していると思ったのです。口に出して言ったのではなく、心の中で言ったのです。しかしイエスは彼らの考えを見抜いて言われます。「なぜ、心の中で悪いことを考えているのか。『あなたの罪は赦される』と言うのと、『起きて歩け』と言うのと、どちらが易しいか。人の子が地上で罪を赦す権威を持っていることを知らせよう」(4~6節)と。
そして、中風の人に「起き上がって床を担ぎ、家に帰りなさい」(6節)と言われました。するとその人は起き上がり、家に帰って行きました。ここに示されるのは罪の赦しとそれを与える権威です。律法学者は心の中でイエスを、神を冒瀆する者という捉え方をします。罪の赦しは神の権威だからです。イエスの行為は彼らにとっては冒瀆行為にしか映りません。イエスを正しく神の子として見る信仰の目がないからです。罪の赦しはイエス・キリストに与えられた神の特権です。イエスこそこの地上で罪人を癒すことのできる真のメシアです。それが福音です。罪の赦しの根拠は主イエスの十字架にあるのです。御子の贖いを受けたことを信じることのできる者が罪の赦しを受けて主イエスを真の救い主と信じて救われるのです。
(2016年11月6日主日礼拝説教より)