「あなたの信じたとおりになるように」
更新日:2016.9.5
マタイによる福音書8章5-13節(新P13)
牧師 米倉 美佐男
「ただ、ひと言おっしゃってください。そうすれば、わたしの僕はいやされます。」(8節)。
中風で寝込んで苦しんでいる人の癒しの記事が記されます。ここに記されるのは単なる病の癒しの奇蹟物語ではありません。話の中心になるのは、病が癒された僕ではなく、その主人の百人隊長です。この人は自分の僕が中風で家に寝込んでひどく苦しんでいるので何とかして欲しいと懇願するのです。
百人隊長は評判のイエスのうわさを聞いて、主イエスの御前にまかり出ました。彼の求めに主イエスはすぐに応じ、「わたしが行って、いやしてあげよう」と言われます。百人隊長は言います。「主よ、わたしはあなたを自分の屋根の下にお迎えできるような者ではありません。ただ、ひと言おっしゃってください。そうすれば、わたしの僕はいやされます。」(8節)
「自分の屋根の下にお迎えできるような者ではない」は明らかに自分は異邦人だから、あなたを迎えることはできない、ふさわしくないという意味です。大変な謙虚さです。百人隊長は、ルカの記事ではユダヤ人のために会堂を建てた(ルカ7・5)とあります。そうした自分のしたことは出さずに、身を低くして丁重に頼むのです。さらにきていただかなくても、ただひと言、お言葉をください。それで充分、それで癒していただけると言うのです。謙虚さと信仰、この二つは別々なことではないのです。最も大事な事は彼が抱えている苦しみを解決するのは、主イエスのみ言葉を信じることなのです。主はそこを受け止められ、その信仰を認めておられます。「はっきり言っておく。イスラエルの中でさえ、わたしはこれほどの信仰を見たことがない。」、「あなたが信じたとおりになるように。」真のいやしは主にのみあり、み言葉に従う勇気にあるのです。
(2016年8月28日主日礼拝説教より)