「ナザレのイエス」
更新日:2016.1.18
マタイによる福音書2章13-23節(新P2)
牧師 米倉 美佐男
「彼はナザレの人と呼ばれる。」(23節)
主イエス・キリストの誕生後、主が伝道を開始なさる以前、聖書には主イエスの幼少期の記事は殆どありません。お生まれになられてすぐ、エジプトへ避難生活されたこと、ユダヤ人の習慣で12歳くらいの時に、エルサレム神殿で宮参りした時のことぐらいです。占星術の学者たちがヘロデに報告しないで帰国し、ヨセフは夢でみ使いから生まれた子を連れてマリアと共にエジプトに逃げなさいとのお告げを受け、み使いがよいと告げるまで帰らないで、ヘロデが死ぬまでエジプトで避難生活をしました。
イエスの幼少時代、ユダヤの王はローマ帝国によって立てられたヘロデです。ヘロデ大王とも呼ばれ、とても残虐な人物であったと伝えられています。自分の地位を守るためには妻や子さえも手にかけて殺してしまいました。その残虐性はローマ皇帝にすら覚えられていました。16節以下はヘロデの虐殺記事が記されています。
19節以下にはヘロデの死後の様子が記録されています。イエスがナザレで育ったことも預言の通りでした。18節はエレミヤ31章15節の言葉で、幼児虐殺も旧約の成就と言うのです。ベツレヘムでの悲惨な出来事もメシアの到来によって慰めの時が来たとの証言だと言います。23節にナザレが出てきます。ナザレは「見張り」と言う意味です。マタイは預言者の言葉から別な意味を持たせます。イザヤ書11章1節エッサイの子ダビデの若枝(ネツェル)とあります。この若枝とナザレはヒブル文字では同じです。主イエスがナザレに住み給うことは預言の成就だというのです。ナザレのような片田舎からメシアが現れるはずがないと言われたにも拘らず、約束通り救い主がナザレから出られた。目をそこに向け、語られてきた神の言葉を信じ、御旨を求めて歩みましょう。
(2016年1月10日降誕節第3主日礼拝説教より)