「あなたがたも気をつけなさい。もし兄弟が罪を犯したら、戒めなさい。そして、悔い改めれば、赦してやりなさい。日に七回あなたに罪を犯しても、七回、「悔い改めます」と言ってあなたのところに来るなら、赦してやりなさい。」（3-4節）

ハイデルベルク信仰問答　　第三一聖日　問八三〜問八五

問八三　その鍵の役目とは何ですか。
答　福音の説教と、キリスト教の戒規の二つです。
問八四　聖なる福音の説教によって、天国は、どのようにして、開かれ、また、閉ざされるのですか。
答　あらゆる信仰者らに対して、まことの信仰をもって、福音の約束を、信ずることによってすべての罪がゆるされ天国は開かれます。反対に不信仰者と偽善者は、悔い改めないかぎり閉ざされるのです。
問八五　キリスト教の戒規によっては、天国は、どのようにして、開かれ、また閉ざされるのですか。
答　キリスト者でありながら、非キリスト教的言動をする者は、兄弟として勧告しても、過誤と悪徳とをやめない時は、教会が勧告し、それに従わないなら、礼典の停止をもって、教会から閉め出されます。悔い改め、まことの更新を約束するなら教会のえだとして、受け入れるのです。

鍵の務めは福音の説教とキリスト教的戒規の二つです。鍵とはマタイの16章に出てくる言葉でペトロの告白に対して主が祝福された言葉です。「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。このことを言ったのはあなたの思いでなく天の父神様だ、あなたはペトロ(岩)、この岩の上に教会を建てる。あなたに天の国の鍵を授ける」と。ペトロ個人やその後継者の教皇に鍵の権能が与えられたのではありません。重要なのは陰府の力に打ち勝つ力が誰にあるのかです。主御自身にあるのです。キリストの上に教会は建つのです。天国を開くのも閉ざすのも主の御力です。主によって命は与えられ、信じる者をキリストの元へと招かれるのです。信じ、悔い改める者には開かれ、信じない者には閉ざされます。開く鍵は福音の説教、閉ざす鍵は戒規です。福音が語られ、戒規を持って規律が行われ教会となるのです。