「万物の創造者なるキリスト」
更新日:2013.7.22
ヘブライ人への手紙1章1-4節(新P401)
牧師:米倉 美佐男
今朝からヘブライ人への手紙をテキストとしてメッセージを聞きます。「神は、かつて預言者たちによって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に語られたが、この世の終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました。」(1−2節)。神は御子によって語られた。御子は万物を相続され世界を創造されました。御子とはイエス・キリストです。
ヘブライ人への手紙の特徴は手紙の形式を採っていますが説教だと言われます。誰が書いたか誰に宛てたか何も書かれていません。他の手紙と違って手紙の体裁、形式は違っていますが、特定の対象、教会に対して書き送ったものであることは間違いありません。ヘブライ人への手紙という表題は2世紀頃から定着しました。名称からユダヤ人あるいはユダヤ人のキリスト者に当てたものであろうと考えられたのです。一つの説では最初に知られたのはローマにおいてでありました。ローマ在住のユダヤ人キリスト者の集まりに送られたのです。13・22に勧めの言葉を受け入れるようにと語られています。
この書を読むと著者はかなり旧約聖書に精通していることが分かります。受取人たちの置かれている状況の困難さも伝わってきます。そのため背教したり、棄教するような危険性がありました。そうならないようにとの勧告、励ましが語られているのです。「生ける神から離れないように」、いにしえの荒野でのイスラエルの過ちを繰り返さないように、古い契約はもう破棄され、新しい契約が与えられたのだからどのように生きるべきかを考えなさいと示しています。12・4によるなら、罪と戦い血を流すような抵抗はしたことがない。殉教の経験はない時代でした。大きな迫害の前に耐え切れずに信仰を放棄しようとしたり、信仰生活から脱落しないようにしっかりと御子、万物の創造者主イエス・キリストの栄光を信じて歩むのです。
(2013年7月14日礼拝説教より)