「だからこの姿に留まらず」
更新日:2013.6.17
ルカによる福音書19章1-10節(新P146)
牧師:洛 雲海(ナグネ)
(長老会神学大学校助教授・
セムナン教会協力牧師)
「ザアカイよ、急いで下りてきなさい。きょう、あなたの家に泊まることにしているから」。主イエスのこの一言は奇蹟を引き起こしました。一人の罪人が、この言葉によって大いに喜び、全く新しく生きはじめたのです。
税金取りのトップで金持ちと、どこか棘の感じられる仕方でしか紹介されないザアカイでした。彼の心に秘められた悲しみはどれほど深かったことでしょうか。人々の目を見れば自分が好かれていないことが痛く感じられたはずです。皆が自分のことを見下ろしているのです。実際、ザアカイは背が低かったのです。ですから、人と会う時、彼はたいてい相手を見上げなければなりませんでした。また徴税人ですから、利害関係のないところでは、おそらく彼は人々から大切にしてももらえませんでした。その証拠に、主イエスを見ようとしたとき彼は道をゆずってもらえず、いちじく桑の木に登らなければならなかったのです。
いつでも人と自分の目線を比べて、どちらが上か下かというような不自由な思いに縛られて、背伸びして生きていたザアカイです。その時、彼は木の上にいました。その下へ何と主イエスが来られます。そして彼を見上げて、彼に声をかけられます。「ザアカイよ、急いで下りてきなさい」。
「あぁ、ザアカイとは、私のことだ」、そう思えた方は何と幸いでしょうか。いえ、そう思って良いのです。それは、私たちへの呼びかけでもあるのですから。主イエスが呼びかけてくださるのです。だからこの姿に留まらず、私たちも下へ降りて行こうではありませんか!ザアカイは木から降りました。その時、彼の目は誰よりも低くあるのに喜んでいます。愛の主イエスが共におられるからです。
(2013年6月9日礼拝説教より)