「もう罪を犯してはならない」
更新日:2012.3.25
ヨハネによる福音書7章53-8章11節
牧師:米倉 美佐男
「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい。」(7節)。
主イエスの最後の1週間、受難週の最初の日にオリーブ山からエルサレム神殿に入られて、人々に教えておられる時に起こった出来事です。律法学者たちやファリサイ派の人々は姦通の現場で捕らえられた女を連れてきて、イエスを試しました。イエスを捕らえるために。
律法学者は聖書の専門家です。モーセ律法の知識を用いてイエスに問います。姦通をした者は死に値する罪を犯したのです。男も女も共に死刑(申命記22・22)です。イエスが赦せと答えても、死刑にするように言ったとしても、彼らにはどちらでもよかったのです。主がどう答えようが結論は決まっていたのです。ところが、イエスは最初、かがみこんで指で地面に何か書いておられます。彼らの問いを主は最初無視されたのだと思います。律法学者たちがしつこく問い続けるので答えられたのです。それが7節の言葉でした。
この言葉を聴いた人たちは年長者から始まり、一人また一人と立ち去り、律法学者やファリサイ人たちもいなくなったのです。残ったのはイエスと女性だけでした。だれも彼女の罪を裁けなかったのです。主イエス以外は。主は言われます、「婦人よ、あの人たちはどこにいるのか。だれもあなたを罪に定めなかったのか。」女が「主よ、だれも」と言うと、イエスは「わたしもあなたを罪に定めない。行きなさい。これからは、もう罪を犯してはならない。」。これが福音です。罪を犯さない人間はいません。その人間に主は示されます。罪を裁く権威を持ったお方が「罪に定めない」と宣言してくださるのです。そして、「もう罪を犯さないように」命じられます。その主のお言に彼女は救われました。罪から解放され、聖なる生活へと生まれ変わるようにとの主の確かな招きがあるのです。
(2012年3月25日礼拝説教より)