「裁判延期」
更新日:2011.2.27
使徒言行録24章1-27節
牧師:米倉 美佐男
「五日の後、大祭司アナニアは、長老数名と弁護士テルティロという者を連れて下って来て、総督にパウロを訴え出た。」(1節)。
この箇所はフェリクスによる裁判の記事です。総督フェリクスはユダヤ人との間になるべくもめごとを表面化させないために事柄を先送りさせようとしました。それだけでなくパウロから金品をせしめようとしたり、ユダヤ人の歓心を買うために、また、後任の総督フェストゥスに責任を転嫁するために2年もの間結論を先送りにしたのです。
パウロが呼び出されると、弁護士テルティロは告発を始めます。テルティロの告発はパウロがユダヤ人社会の中で騒動を起こす疫病のような存在であり、危険人物であること。そのとがは神殿を汚した理由で逮捕したのだと訴えます。他のユダヤ人たちもこの告発に同調しました。彼らに対するパウロの弁明は実に堂々としています。自分は敬虔な礼拝者として神殿に詣でただけであり、群衆を扇動して騒動を起こすような事実は何もないこと、訴えには何の根拠も証拠もない、ただ言えるのは彼らが分派と呼んでいる「この道」(キリストを信じる者)であることはその通りであり、聖書に従って復活を信じ、希望を持って「この道」に忠実に歩んでいるだけであると弁明します。
フェリクスはキリスト教のことをよく知っていました。千人隊長のリシアが下ってくるのを待つことを理由として裁判を延期します。最初に述べたことがあったからです。
ユダヤ人妻ドルシラとの間の個人的なこともあったようです。いずれにしろ2年間の間裁判は延期されその間にフェリクスの計画も期待通りにならず総督はフェリクスからフェストゥスに代わります。
はからずも人間の思いを越えた形でパウロが願っていたローマへの道が確実に一歩一歩整えられて行きます。必要な道は人間の思いを越えて確実に備えられるのです。
(2011年2月27日礼拝説教より)