「捕らえられたパウロ」
更新日:2011.1.9
使徒言行録21章27-36節
牧師:米倉 美佐男
クリスマスシーズンを経て、久しぶりに使徒言行録に戻ってきました。今朝のこの箇所から、使徒言行録の最終部分に入ります。パウロの悲願であったローマへの伝道が、
囚人の身ではありましたが実現します。その始まりとなったのがこの箇所です。使徒言行録はパウロがローマで軟禁状態のまま伝道生活を続けたことを持って終わっています。
パウロはユダヤ人の反感をかわすために神殿に入りきよめの行為を行いました。ところがかえってその事が誤解を生みました。パウロが入れてはならぬ神殿内に異邦人を入れたという理由で彼は誤認逮捕されます。パウロが憎いユダヤ人には理由は何でもよかったのです。
ところが不思議な事にこの誤認逮捕が人間の思いなどどこ吹く風で、長年パウロが願っていた、ローマ行きの機会の実現となりました。著者はそこに人の思いを越えた神の導きがあることを示しています。
状況はエルサレム全体が大騒ぎになり、民衆は駆け寄り、パウロは境内から引きずり出されます。門は閉ざされ、彼らがパウロを殺そうとしていた時、その混乱状態の報告がローマ軍の守備隊長に入り、騒ぎを鎮めるために兵士が派遣されました。一発触発の危険状態があったので、真相をつかむためにパウロを兵営に連行しました。ユダヤ人たちの抵抗が激しかったので群集の暴行を避けるため兵士たちはパウロを担いでその場を去ったほどでした。
ここで大事なことはパウロは鎖でしばりあげるよう命じられています。それはローマ軍によって公式に捕らえられたということです。多くの民衆が叫びながら後をついてきた。その叫びの言葉は「その男を殺せ」、ちょうど主の十字架にかけられる前にも同じ言葉が主にあびせらています。
主に従うことは常にこのような状況があるのです。主のためにいつでも献げて行く心は持ち続けたいと思います。
(2011年1月9日礼拝説教より)