「カナの婚礼」
更新日:2011.7.3
ヨハネによる福音書2章1-12節
牧師:米倉 美佐男
「三日目に、ガリラヤのカナで婚礼があって、イエスの母がそこにいた。」(1節)。
ヨハネ福音書の記者は主イエスが最初の弟子を召し出した後、最初の奇跡を起こした事を記録しています。それはガリラヤのカナでの婚礼の席での事でした。カナはナザレの北の方に14、5キロのところにある村です。先週出てきたナタナエルの故郷でもあります。
そこでの婚礼の場にイエスの母マリヤがいました。イエスも、弟子たちもこの婚礼に招待されていましたから、イエス一家とはかなり親しい関係であったのでしょう。3節以下に記されているように、宴の途中で用意していたふるまい酒のブドウ酒が足りなくなってしまいました。母マリヤがイエスに「ぶどう酒がなくなりました」と言います。
その時、イエスは母に「婦人よ、わたしとどんなかかわりがあるのです。わたしの時はまだ来ていません。」と答えます。私に何ができるか、私が何をしなければならないか?との意味合いですが、母の要望にイエスは応じました。
注目すべきは、「わたしの時はまだ来ていません。」との言葉です。明らかにこの先に起こることを想定してのお言葉です。時とはこれから起こる十字架、復活、さらなる救いの出来事を暗示しています。その上で清めのための水がめ6つに水を満たし、それをブドウ酒に変えられたのです。この出来事は忘れられない記憶として語り継がれてきました。伝道の開始に当たって、伝道の本質が示されています。それは祝いの出来事であり、また喜びの出来事なのです。戒律づくめで人をがんじがらめに縛り、不自由にさせるところに感謝も喜びも生まれません。カナの出来事は神の栄光の現れであって、弟子たちはイエスを信じたのです。この初の奇跡は主イエスの神性を証しし、キリストの到来によって喜びが溢れ、キリストの招きに応じて従う時、私たちは本当の喜びに満たされて歩む事ができるのです。
(2011年7月3日礼拝説教より)