「暗闇を照らす光」
更新日:2011.12.4
ルカによる福音書1章67-79節
牧師:米倉 美佐男
アドベント(待降節)の第2週に入りました。
「暗闇と死の陰に座している者たちを照らし、我らの歩みを平和の道に導く。」(7節)。この言葉は旧約のイザヤ書9章4節の言葉です。「闇の中を歩む者は、大いなる光を見、死の陰の地に住む者の上に、光が輝いた。」初代教会は、主イエスのご降誕を、旧約聖書の預言、メシヤ誕生の約束に結び合わせて理解したのです。
今日の箇所はザカリヤの讃歌(ベネディクトゥス(ほめたたえよ))と呼ばれます。長い間、語り継がれてきた旧約の預言が成就したのです。暗闇と死の陰に座している者とは誰でしょう。イザヤの時代紀元前8世紀のころはアッシリアの侵略で北イスラエル王国が滅ぼされ、南ユダ王国だけが残りました。残された人々にも重圧があった時代です。希望を失った人々に対するメッセージがかたられたのです。そして、預言は時代を越えて語り継がれてきました。
主のご降誕の出来事は時代を越えて、世界全体を包括しています。飢え渇きにある者、紛争で傷ついている者、平和の欠如している人々。神によって与えられる深い喜び、大いなる楽しみを味わう事ができない人々、肉体面そして内面的に悩みを負っている人々、孤独や不安の中にいる人、多くの人々が、また私たち自身も闇の世界、死の陰に座す世界におかれているのです。
その暗闇を照らす真の光が与えられた、とザカリヤは告げたのです。メシヤの誕生は新しい王の誕生、新しい統治の開始です。「驚くべき指導者、力ある神、永遠の父、平和の君」(イザヤ9・5)が到来したのです。
暗闇の中を歩んでいた者が真の光を見ることができた時、私たちはもう黙ってはいられません。真の光を見た喜びを世に伝える者として生かされるのです。
(2011年12月4日礼拝説教より)