「年老いてなお実を結ぶ」
更新日:2012.11.5
詩編71編1-18節
牧師:朴 米雄
私たちが生きているこの日本は世界一の長寿の国です。厚生省は平均寿命男性79才、女性85才であると発表しています。このような長寿の国に住む私たちですが本当に長生きしたいと思っているでしょうか。お年寄りの教会員を訪問すると、長生きして家族や子どもたちに迷惑をかけるよりは早く天国に行きたいと訴える方もおられます。
聖書の御言葉はこのように語ります。長く長く生かされるように神様に願っています。たとえ今年老いてももっと長く生きたいと神様に訴えているのです。詩編の71編には神への信頼、感謝と讃美が歌われています。おそらくこの詩人は年老いた人でありました。彼は人生の若い時から神を信じる信仰の人生を歩みました。年老いてから神を信じるようになったのではなく母の胎にいた時から神の恵みのうちに生かされてきたことを告白しています。「生まれる時からあなたにより頼みました。あなたは私を母の胎から取り出されたからです。」(5、6節)。
晩年この詩人は非常に重い病を患いました。彼は死にも直面したのです。彼は死を直視して、耐え難い苦しみの中でもがき苦しみました。それだけではなく、彼を貶めようとする者たちも彼を悩ませたのです。詩人はそのような者たちを明確に敵と呼んでいます。その敵とは信仰を迫害する者のことです。私たちの周囲も99%は主を信じない人々です。この詩編71編は私たちの人生を言っているのです。
しかし、詩人は最後にこのように申します。「神よ、あなたは私を若い時から教えられました。私はなお、私のくすしきみわざを宣べ伝えます。」(17節)。どのようなどん底の生活にあっても主の救いのくすしきみわざを宣べ伝えると言うのです。そして過去、現在のみならず、彼は明日の未来にも目を見据えているのです。年老いてなお未来を見ているのです。「神よ私が年老いて白髪となるともあなたの力をきたらんとする全ての代に宣べ伝えるまで私を見捨てないで下さい。」(18節)。詩人は言います。あなたの御国の祝福を宣べ伝えさせてくださいと。これが年老いた信仰者の目標です。老人には若い人にはない長い人生体験、長い信仰生活からの知恵があるのです。長く生かされて子や孫に、ひ孫にイエス様を伝えましょう。主イエス・キリストのよみがえり、永遠の命の希望を伝えましょう。老いの現実は決して甘くありません。病との戦い、生活との戦いはとても厳しいものです。けれども神の恵みによって希望を持って生かされる道がここに備えられているのです。
(2012年10月28日礼拝説教より)