「わたしに従いなさい」
更新日:2013.7.8
ヨハネによる福音書21章15-19節(新P211)
牧師:米倉 美佐男
「主よ、あなたは何もかもご存じです。わたしがあなたを愛していることを、あなたはよく知っておられます。」 (17節)
復活の主イエスと弟子のペトロがここでの登場人物です。主がペトロに三度も「わたしを愛するか」と問われます。ペトロはもちろん「愛しています」と答えます。どうして主は三度も同じことを聞かれたのでしょう。それは何を一体意味しているのでしょう。そしてその先には「わたしに従いなさい」という主のご命令があります。主は再度ペトロを弟子として「我に従え」と招かれたのです。
主イエスが何度も「愛するか」と問われているのは決してペトロがまた裏切るかもしれないと案じられたからではありません。むしろ、従う事の困難さ、ペトロに託すべき羊を養う事の難しさを誰よりも知っておられるからでした。羊飼いの役目は何よりも羊を導き、守り、養い連れて行くことです。羊飼いはリーダーです。ペトロが傲慢にならないように繰り返し「わたしを愛するか」と確認されたのです。羊飼いの仕事は羊のために命を捨てることです。自分の命を守るために羊を置き去りにするような者は適任ではありません。
けれども主イエスは主を裏切るような脆い人間の現実に関わらず、そのような危うさを持った者をも弟子として招き用いてくださるのです。真実の大牧者は主イエス・キリストだけです。その主が命じられます。「あなたがたにゆだねられている、神の羊の群れを牧しなさい。強制されてではなく、神に従って、自ら進んで世話をしなさい。」ペトロ一 5・2−4。主イエスの十字架がまことの牧者の証しです。その主の命を受けて立てられていることに共に自覚を深めて参りましょう。生きている間だけでなく、死においても主の栄光を証するために従うのです。
(2013年6月30日礼拝説教より)