「汝、殺すなかれ」
更新日:2015.7.13
ローマの信徒への手紙12章21節(新P292)
米倉 美佐男牧師
「悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい。」(21節)
第四0聖日 問105-107
問105 第六戒においては、神は、何を、お望みになっておられますか。
問106 それならば、この戒めは、殺すことについてだけ、語っているのでありますか。
問107 しかし、自分の隣人を、そういうように、殺しさえしなければ、十分なのでしょうか。
第六戒は「汝、殺すなかれ」、「殺してはならない」です。この戒めから何を聞くことができるか。神がこの戒めを通し何を望んでおられるかを聞くのです。
三つの問に対するそれぞれの答えは第一は隣人を言葉や行いによって傷つけないこと、第二は殺人の根にある、嫉妬、憎悪、怒り、復讐を捨てること、第三は第六戒は隣人を、自分自身のように愛し、忍耐と平和と柔和と慈悲と友情とを示し、敵に対しても、善を行うことを教えます。「殺してはならない」は倫理的な意味合いだけでなく、神の民として、隣人を自分を愛するのと同じように愛しなさいという戒めとして語られているのです。ただ殺すなでなく、隣人と共に生かされるための教えです。
「兄弟を憎む者は皆、人殺しです」(第1ヨハネ3・15)。
刑法に触れるからアウトではなく、人を憎んだり、復讐心を持つことは殺人と変わりないのです。人を憎むということはその存在を認めないことです。主イエスは人を生かすために、隣人を愛せを自らの生き様を通して、十字架のお姿を私たちにお与えになられました。第六戒を通して主が示された隣人を自分自身のように愛して、共に生きるものとなりましょう。それは私たち自身が主の十字架の愛を受けて生かされていることを信じて歩む時に、自分の力でなく主の御助けによって可能となるのです。悪に負けずに善をもって悪に勝つのです。
(2015年7月5日礼拝説教より)