「汝、盗むなかれ」
更新日:2015.8.10
ルカによる福音書16章10節(新P140)
米倉 美佐男牧師
「ごく小さな事に忠実な者は、大きな事にも忠実である。」 (10節)
第四二聖日 問110-111
問110 神は、第八戒においては、何を、禁じておられますか。
答 神は、官憲の罰する、窃盗や強盗を、禁じておられるだけでなく、不正な、目方、物差、枡、品物、貨幣、利息、その他、神に禁ぜられている方法によって、暴力によるにせよ、権利を装うにせよ、隣人のものを、自分のものにしようとする、一切の悪いこと、企てを、盗みとよばれるのです。これらに、すべての貪欲、不必要な浪費をも、加えるべきです。
問111 それなら、この戒めにおいては、神は、何を、命じておられるのですか。
答 できる限り、許される範囲において、隣人のために、益を計り、彼に対して、自分が他人にしてほしいように尽し、真実に努力して、困って助けを求めている人々を、助けることができるようになることです。
第八戒は「汝、盗むなかれ」です。盗むことは、古今東
西、昔も今も、時が変わっても場所が違ってもしてはいけ
ないことです。ただ、この戒めはこの世の法的問題だけで
なく、神に禁じられているものは全ていけない、盗みであ
ると言います。この世の公権力は罰しなくても神が禁じて
いるものがあるのです。不正な度衡量、目方、物差し、秤、
インチキ商品、不正な利息等、様々な悪徳があります。暴
力即ち力で、あるいは正当な権利であったとしても隣人の
ものを自分のものにしようとする企ては盗みです。
すべてのものは神から与えられたのだから自分のためにだけ用いてはなりません。常に、神の国の民として自覚して生きるべきです。神の国を継ぐ者として貪欲、略奪する者であってはならないのです。神がお求めになるのは社会的正義の秩序以上に神の民の公正さです。盗んではならないは神から授かった権限を忠実に用いないで私物化することへの警告です。ただ盗むなというだけでなく、与える者として、もっと積極的に生きなさい。隣人に仕えるために正しくキリストと教会に仕える者として歩むのです。
(2015年8月2日礼拝説教より)