「伝道開始」
更新日:2016.2.22
マタイによる福音書4章12-17節(新P5)
牧師 米倉 美佐男
「悔い改めよ。天の国は近づいた。」(17節)
荒れ野でのサタンの誘惑の後、主イエスの伝道が開始されました。開口一番主が語られたのは冒頭に読んだ言葉です。バプテスマのヨハネも同じ言葉を語りました。共に神へ立ち返れと言うメッセージです。主の伝道活動は30歳頃から3年半くらいと言われています。公生涯は会堂で説教をされ、病人を癒し、貧しい者に手を差し伸べられたのです。活動はユダヤの南から北まで、マタイはイエスの全生涯の舞台を北のガリラヤ地方に絞り、エルサレムに行くのは十字架の時に限っています。
第一の理由はバプテスマのヨハネの逮捕事件がありました。バプテスマのヨハネはヘロデの結婚問題を批判して捕らえられ、処刑されています。主にとっても危険地帯です。あえてそこに飛び込んだともいえます。第二の理由は、ゼブルンとナフタリの地方にある湖畔の町カファルナウムに居住し、伝道します。これはイザヤの預言の成就(9章1節)であったというのです。イエスの時代のガリラヤ地方はゼブルン族とナフタリ族の領土でした。
イザヤの預言の「ひとりのみどりごが私たちのために生まれた。」(イザヤ9章5節)このみどりが主イエス・キリストであられます。この主によって死せる人の上に光が照り輝いたと証しするのです。暗黒の住人は異邦人にあらず、ユダヤ人もまた然り、さらにいうなら神を神としない、主イエスを真のメシアと信じない者たちの世界です。悔い改めを迫り、天の国、神の御支配を信じて時を生かされるのです。教会のなすべき務めは伝道です。その先頭に主は今も自ら立ち続けて私たちを導いてくださるのです。
(2016年2月14日受難節第1主日礼拝説教より)