最初の教会は立派で非の打ち所のない弟子たちによって歩み出したのではありませんでした。ご復活のイエスさまは離反したペトロをもう一度召され使徒とされたのです。「あなたがたも、初めからわたしと一緒にいたのだから、証しをするのである。」（27節）イエスさまとの初めからの歩みとは、一切を捨てて従った日々、たとえ死ぬことになったとしてもイエスさまに従うと豪語したこと、結局はイエスさまを見捨ててしまうところまでのすべてです。イエスさまに完全に従って来ていたことによってではなく、罪赦されたことにより証し人とされたのでした。
弟子たちは元々世に属していました。わたしたちもみな、キリスト者になる以前は神に背き、神なしに生きる世に属していたのではないでしょうか。その世から選び出されたのは、世に生きていたわたしたちが、世に生きる人たちに対する証し人とされるためです。「あなたがたは世に属していない。わたしがあなたがたを世から選び出した。だから、世はあなたがたを憎むのである。」（19節）
イエスさまの証し人となる。必ずしも周りから受け入られるわけではないでしょう。憎まれることもあると言われています。キリストと一つとされ、キリストと共に苦しむこともあるのです。わたしたちも、はじめから証し人を受け入れたのではなかったかもしれません。素直にすんなり信仰を持ったのでないかもしれない。それでも愛と同情をもって伝え続けてくれたキリストの教会、証し人たちがあったのです。だからわたしたちも愛と同情をもって証し人として伝え続けるのです。
先日葬儀がありましたが、司式をする度に、キリスト者は誰もが証し人であると感じるのです。敬虔な熱心なキリスト者もあれば、礼拝から遠ざかりほとんど教会生活をしていなかった者もある。それでも、その人を創り生かし、十字架により罪を赦し、ご自身のものとして永遠の御国へと招きたもう神を証しする者とされているのです。わたしたちもみなそうでしょう。立派でないかもしれない。敬虔な熱心なキリスト者でないかもしれない。ただイエス・キリストが選んでくださるから、わたしたちはみな証し人とされるのです。アーメン