「神の国の大使館」
更新日:2021.9.10
使徒言行録2章37~47節(新216頁)
小林 克哉牧師
教会創立132年を迎えました。1878年11月25日、米国北メソヂスト教会宣教師ハリスらにより札幌でのサーキット伝道が開始され、1889年9月7日札幌美以教会としてわたしたちの教会が組織されました。改めて教会が原点へと立ち帰るときとして毎年、この日を特別に覚えています。キリストの教会は2000年の時を刻んできましたが、いつの時代、どの地域の教会も聖書に立ち帰ることにより自らを改革し続けてきました。
ペンテコステの日に聖霊の注ぎにより誕生した教会の姿は、理想的な教会の姿であり、どの時代、どの地域に建つ教会にとっても目標とする教会のビジョンです。しかしまたどの時代、どの地域に建つ教会であれ、それがキリストの教会であるなら、既に同じ恵みの現実が起こってもいるのです。「彼らは、使徒の教え、相互の交わり、パンを裂くこと、祈ることに熱心であった。」(42節)
ある人が、教会は神の国の大使館だと言いました。ドアを開けて大使館に入ると、そこは本国の雰囲気に満ちています。言葉、飾り、食事など本国を思わせるのです。教会は、この地上にあって神の国の先取りとして存在しているのです。教会では神の国(=支配)が、神の愛と恵みのご支配が始まっているのです。それは未だ完全な仕方ではありませんが、確かに「使徒たちの教え」によりキリストの言葉(神の言葉)が語られ、「相互の交わり」により元々無関係だった者同士が互い愛し合い助け慰め合い、「パンを裂き」によりキリストのご臨在のもと神の国の祝宴を指し示す聖餐を祝い、「父よ」と「祈ること」で神との親しい交わりにあずかっています。神の国で全き仕方で実現することが、教会において今既に始まっているのです。
多くの人は、町の片隅に建っているだけの存在として教会を通り過ぎてゆくかもしれません。しかし神の国がこの札幌の地にも突入してきているのです。神の国の大使館である教会を通し、この町に住む人々に主は神の国を証し、また神の国へと招いておられるのです。「こうして、主は救われる人々を日々仲間に加え一つにされたのである。」(47節)133年へ向かう伝道の旅が始まります。
(2021年9月5日礼拝説教より)