「上に立つ権威に従え」
更新日:2020.4.6
ローマの信徒への手紙13章1-7節 (新約292頁)
米倉 美佐男牧師
「人は皆、上に立つ権威に従うべきです。」(1 節)とパウロは言います。彼がなぜそのように言ったのかはよくく分かりません。権威という言葉は少し強面のイメージががあります。エクスーシアという言葉で権力とも訳せます。聖書では神の力、権能を意味する時にも使われます。ここでは神の権威というより、この世的な力、おそらく当時のローマ帝国を意識して語っています。
福音書で主イエスが「カイザルのものはカイザルに、神のものは神に」と言っていますので当然パウロもそのお言葉を念頭においていたでしょう。ここで一つ心に刻むべきことがあります。私たちは日本に生きている日本人です。世界にはそれぞれこの世の国の国籍があり、そして私たちはイエス・キリストを信じる者として信仰者として神の国に属しています。パウロはたとえキリスト者といえどもこの世の国が神の神権を犯さない限りその秩序に従うべきだと教えているのです。
パウロがここで一番大切なことと言うのはこの世に対して自分の果たすべき務めを果たすこと、貢を納め、税を納め、恐それるべき人を恐れ、敬うべき人は敬いなさい、ということです。この世の国家も神の創造の秩序のもとにあるからです。ただ地上の国は絶対的存在ではなく相対的な過ぎ行くものです。それに比し信仰のもとに神の国の神のご支配は絶対的です。ただ相対的ではあっても神の秩序にある限りはその力への服従は当然であるのです。そうでなければ、権力が神の意志に反する時には信仰者は人に従うのでなく神に従うのです。私たちは神のみ旨に従って歩みます(使徒5章29節)。
この時代に生きている私たちも、教会が何をもって教会として歩んでいるのか、その歩み、あるべき姿が問われているのです。今まさに。
(2020年3月29日礼拝説教より)