「学び見たことを実行せよ」
更新日:2019.4.8
フィリピの信徒への手紙4章8-9節 (新約366頁)
米倉 美佐男牧師
キリスト教は行いではなく信仰が大事だということを大切にしてきました。「正しい者は信仰によって生きる」(ローマの信徒への手紙1章17節)、「イエス・キリストへの信仰によって義とされる」(ガラテヤの信徒への手紙2章16節)と書かれています。これらは信仰義認と呼ばれ、私たちの信仰の最も大切な教えの一つです。しかしだからと言って行いはどうでもいいのかというとそうではありません。聖書の中に「信仰を持っていると言う者がいても、行いが伴わなければ、何の役に立つでしょうか。」(ヤコブの手紙2章14節)とも記されています。
信仰義認をキリスト教の最も大切な教えとして行為義認を退けたルッターはヤコブの手紙を藁の書簡と呼びました。けれどもヤコブ書の言っていることも大事な事です。信仰が正しければおのずとそこから出てくる信仰生活もそれにふさわしい生活になるのです。信じているといいながら行いの伴わない信仰は本物ではないと言っているのです。フィリピの信徒の手紙でパウロが言っているのもまさにそれです。パウロ自らの信仰の姿勢をかけての問いかけです。
パウロが実行しなさいと言うのはフィリピの教会の人たちが教会の創設期にパウロから学んだこと、受けたこと、聞いたこと、見たことでした。前にわたしに倣う者となれとも彼は言っています。パウロから学び受けたのは十字架と復活のキリストのことでした。それはパウロ自身も受けたことであったのです。教会が受け継いできた信仰の一番中心的なことに立脚しなさいと勧めるのです。そうすれば平和の神はあなたがたと共におられます。平和の神、神の平安は同じです。わたしたちにとって何よりも感謝であり喜びであるのは、神がいつも共にいて下さることです。真(まこと)の救い主イエス・キリストが今も共にいてくださる、その約束を信じて歩むのです。
(2019年3月31日礼拝説教より)